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2019/02/19

健康寿命日本一になるための賀茂地域の食育指導者研修会<伊豆地区>

大村新治センター所長の挨拶


 「平成30年度食育指導者研修会『学んで 食べて みんなで進める食の環境整備』」(主催:静岡県賀茂健康福祉センター)が、平成31年2月5日(火)に下田総合庁舎2階で、賀茂地域における食の環境整備の一環として、減塩の必要性の理解促進としずおか健幸惣菜レシピの普及を目的とする講演会・試食会が開催された。
 大村新治センター所長が「賀茂地域は少子高齢化、人口減少、健康問題と様々な課題があります。特に標準化死亡比率では県の平均を上回る数値がかなり多く出ています。健康づくりで一番の始まりは食からと思っています。今日の講演会・試食会を参考に自らの学校や保育園、民間企業の皆様方が本日の結果を持ち帰り話し合って、この地域での減塩が前に進むよう取り組んでいただけると大変うれしいと考えております」と挨拶があった。
 参加者は賀茂地域の学校・園、スーパー、弁当・惣菜店等食品製造・加工事業者・干物店等、栄養成分表示店、健康づくり食生活推進協議会、病院・施設、行政・在宅栄養士、薬局・薬品会社等の関係者71名だった。

賀茂地域の健康課題
 賀茂健康福祉センター健康増進課の鈴木栄養士から、平成28年度の特定健診データ分析結果を基に賀茂地域に高血圧症有病者が多い旨の説明があった。高血圧の要因として、塩分のとりすぎ、肥満、ストレス、飲酒、喫煙などが考えられる。賀茂地域は、漬物、干物、みそ汁、魚の煮物など塩味の強い食べ物を食べる回数が多い傾向があるらしい。平成20年の県民健康基礎調査では、漬物の摂取頻度が県平均9.6回/月に対して、13.6回/月と県内で伊豆地域が一番多い。


市町別分析:高血圧症有病者



 最後に「健康のために食生活において個人で減塩に心がけることは大事ですが、それだけでは限界があります。地域に住む人々が健康に暮らすためには健康によい食事が摂取できる環境を整えることが大切です。それが食の環境整備になります。食に関わるそれぞれの立場で何かできることはないか、この研修会を通して(環境整備を)学んでいただけたらと思います。是非、一緒に賀茂地域の食の環境整備に取り組んでいきましょう!」と結んだ。

講演1 地域で進める食の環境整備としずおか健幸惣菜レシピの普及
講師:静岡県立大学食品栄養科学部栄養生命科学科 教授 
    (しずおか健幸惣菜検討委員) 市川陽子 氏


食の環境整備としずおか健幸惣菜レシピの講演


 これまで健康のために食生活において個人・家庭で減塩や食事バランスに心がけるような運動を展開してきたが、食の外部化と消費者のニーズから自分で食品や弁当などを購入する中食が増加している。また、一人暮らしの高齢者の増加によって、「食のアクセス問題」「買い物弱者」「買い物難民」などから民間による配食サービスが増加している。
 そこで、食の環境(外食部門、中食部門、給食部門)を整備して食の健康増進を加速化する取り組みが「健康な食事・食環境(スマートミール)」認証制度*である。県内の外食部門、中食部門、給食部門の応募作品の中から、しずおか健幸惣菜検討委員会がこの認証基準を参考に「しずおか健幸惣菜レシピ」を決定している。政府の健康・医療戦略推進本部も企業の「食事補助」、「健康な食事」の普及を後押ししている。
「健康な食事・食環境(スマートミール)」推進事業のホームページ (http://smartmeal.jp/)


講演2 生活習慣病と減塩対策〜健康づくり、産業振興、観光振興の一石三鳥の提案〜
講師:(一社)適塩・血圧対策推進協会 代表理事 医師・医学博士 岡山明 氏

生活習慣病と減塩対策の講演


 カリウムは生命に必須の栄養素で野菜や果物に豊富に含まれている。日本人はカリウムの摂取量が少なくてナトリウムが多い。カリウムは塩分(ナトリウム)の排出を高めることで血圧を下げることが知られており、カリウムが不足すると高血圧や脳卒中にかかりやすくなる。これまで減塩活動してきたが、食塩摂取量が減少しない。その要因の一つに、薄味で味が大きく変わってしまうために普及が難しかった。そこで、あらゆる食品分野で、親しんできた味を変えることなく美味しくて減塩効果のある減塩食品を製造すれば全体に普及できる。カリウムは食塩の塩味を強める作用(塩味増強剤)があり、減塩による塩味の減少をある程度補うことができる。カリウムの量が多くなると、えぐみが出て後味が悪く苦みがある。そこで食品中のナトリウムとカリウムの比に着目したのが、食塩の一部を塩化カリウムに置換した食品「ナト・カリ食Ⓡ」である。味は一般の食塩と同じで減塩効果がある。ナト・カリ食の普及により、慣れ親しんだ食生活を変更せずに、手軽にナトリウムとカリウムの摂取バランスを適切に保つ(減ナトリウムと増カリウム)、ならびに食塩使用量の低減を実現できる食環境を整備することができる。この運動に参加する企業に、減ナトリウム・増カリウム食品の製造ノウハウを提供したり、ナト・カリ食のブランド管理や販売ルートを確保したり、ナト・カリ食品の意義やおいしさを広く普及啓発していく仕組みを構築し、開発した食品(醤油、味噌)の減塩効果や血圧の改善効果を検証する認証機関が(一社)適塩・血圧対策推進協会*である。
 最後に「ナト・カリ食が普及し、塩分が25%減ると日本は減塩の先進国になります。ナト・カリ食の味噌、醤油、干物を輸出するときも、味が変わらす食塩濃度が大きく下がるので非常に売りやすい。このナト・カリに賛同してくださるメーカーを募集しています。また実際にレストランで使ってくださると一番いいなと考えています」と呼びかけた。

(一社)適塩・血圧対策推進協会のホームページ   (http://www.lowsalt.or.jp/) 

試食会「しずおか健幸惣菜レシピを実際に味わおう」
 しずおか健幸惣菜レシピの中から「野菜たっぷりちゃんちゃん焼き」「切干大根のアラビアータ風」「切干大根と小松菜の和え物」と適塩・血圧対策推進協会から提供された「塩さんま」の試食が行われた。
塩さんま(適塩・血圧対策推進協会)
 塩分を全く使用しないでグルゴン酸カリウムとハーブの成分を混ぜて作ったサンマの干物


試食会の参加者とその料理



 生活協同組合ユーコープから「野菜たっぷりちゃんちゃん焼き」「切干大根のアラビアータ風」、そして、河津町健康づくり食生活推進協議会から「切干大根と小松菜の和え物」が提供された。
 《栄養士のおすすめポイント》 ・・・資料 「しずおか健幸惣菜レシピ」より
● 野菜たっぷりちゃんちゃん焼き((株)静鉄ストア/デリカ部/望月美成)
 銀鮭に含まれるアスタキサンチンは抗酸化作用があり、わさび菜はビタミンC、B2、Aが豊富であり、老化予防やストレス改善効果があると言われます。また、米みそ·酒·しょうゆ·みりんはいずれも、日本が誇る発酵食品です。
● 切干大根のアラビアータ風(エームサービス梶^東芝キヤリア事業所食堂/勝又彩加)
 切干大根という和風の食材を、にんにくオイルやトマト缶を使い低塩で洋風に仕上げたヘルシーな一品です。
● 切干大根と小松菜の和え物(社会福祉法人岳陽会/特別養護老人ホーム 岩本園/佐野佑里子 鈴木穂波)
 切干大根·小松菜·サクラエビはいずれもカルシウム豊富な食材です。こんにゃくで食物繊維を摂り、和風だしで低塩に仕上げた一品です。

しずおか健幸惣菜レシピ(PDF:4,823KB)」は、つぎのURLからダウンロードできる。
https://www.pref.shizuoka.jp/kousei/ko-430/kenzou/documents/2018kennkousouzairesipi.pdf

<取材後記>
 これまで賀茂地域の健康づくり食生活推進協議会は「具だくさん味噌汁で減塩の普及活動」を行ってきたが、塩分が少ない薄味の食事が家庭に受け入れられなく高血圧症有病者が減少していない。今回の研修で静岡県賀茂健康福祉センターが地域全体を巻き込み食の環境(外食部門、中食部門、給食部門)整備を進めている。
 静岡県は健康寿命が平成22,25,28年の平均でみると連続してトップクラスの2位である。その中で、静岡県が独自に算出している平成27年の市町別「お達者度」を見ると、賀茂地域(1市5町)は県下でワースト10位内を占めており、特に女性はワースト4位を全て占めている。静岡県賀茂健康福祉センターがある下田市は男女共でワースト3位内にある。
 静岡県賀茂健康福祉センターが下田市をモデルケースとして健康づくりの運動を展開し、その結果を同じ食の環境にある賀茂地域に反映すれば、静岡県が健康寿命日本一になるかも(賀茂)?

取材:生きがい特派員賀茂地域担当 白神時雄



「お達者度」について

 


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