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2018/11/20

シンポジウム 人生100年時代、自分らしい最期を迎えるための生き方、過ごし方

「シンポジウム 人生100年時代、自分らしい最期を迎えるための生き方、過ごし方」が、2018年11月16日(金)静岡県コンベンションアーツセンター・グランシップにて開催されました。(写真@A)

 平均寿命は男女ともに80歳を超え、人生が長寿命化する中、人生の最終段階を取り巻く環境や考え方は大きく変化しつつあります。医療・ケアの関係者が一堂に集い、いま望まれる人生の最終段階における医療・ケアのあり方について議論が交わされました。


人生100年チラシ@2


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 本シンポジウムは第23回静岡健康・長寿学術フォーラム“人生100年時代の健康・長寿”の一環としての開催となります。(写真B)
会場の会議ホールは300名の参加者で埋め尽くされました。(写真C)


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 最前列には本シンポジウムの講演者、パネリストが並びます。(写真D)
 まずは開会にあたり静岡県知事の川勝平太氏から挨拶がありました。(写真E)


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 第1部は基調講演として富国有徳の美しい“ふじのくに”づくりリーディング・アドバイザー顧問である山折哲雄氏より「人生100年時代の日本人の生き方、心のあり方」のテーマにて行われました。(写真FG)
 宗教家としての見地から、自身の死と直面した経験談や日本と西洋との死生観の違いについて述べられました。とりわけ僧であり歌人としても有名な西行法師の考え方を中心に死生観が展開されました。まとめの3点として・・・
1.死生観を見直す。 死を点で捉える(心臓死や脳死など)のではなく、プロセスで捉える“殯(もがり)”の思想
2.日本は「気配の文化」であり、「告知の文化」とは異なる。 「察する」こと・・・診察から診療になってきている。
3.日本は長老を大事にしてきた文化。

 めざましい医療の進歩により長寿化しつつある日本の現代社会において、心のあり方を淡々と紡ぎ出す山折氏の言葉は印象に残るものでした。


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 第2部は3名の演者による一般講演です。

 まずは厚生労働省がん対策推進協議会会長、静岡がんセンター総長の山口建氏より「現代の死生観とがん医療」のテーマで発表がありました。(写真HI)
 これまでがん患者3万人の治癒とともに1万5千人の看取りを行ってきた経験から、がん患者やその家族の悩みや負担を共に考えてこられました。患者との対話で大切な“豊かな心”とは・・・
1.生老病死・・・人間はいつかは死ぬ
2.森羅万象・・・自然の生きとし生けるものへの愛おしさ、かけがえのなさ
3.幸せの閾値・・・当たり前が幸せ
4.絆・・・人の情けの有り難さ
5.小志(生き甲斐)・・・やるべきこと、伝えること


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 続いて、たんぽぽ診療所院長の遠藤博之氏(写真J)からは「深い悲しみと無常感〜大切な人を手放さないために〜」のテーマで、有料老人ホーム・ナーシングホームあしたばホーム長の内藤歌子氏(写真K)からは「施設で最期を迎えた325名の方から教えていただいたこと」のテーマで講演されました。
 遠藤氏は、この世に悲しみを負って生きている人がどれほど多く、その人たちにとり、死者は別れた後も長く共に生きている人々であることを、改めて深く考えさせられたと述べられました。
 内藤氏は「看取りを行う介護施設という場に最も必要なのは、家族に寄り添い、心が安らぐような対応でしょう」との石飛幸三医師の言葉を述べられました。


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 第3部はパネルディスカッションとして、上記の一般講演者の3名に加え、静岡県立病院機構理事長の田中一成氏がパネリストとして参加し、ディスカッションが行われました。コーディネーターは日経BP総研メディカル・ヘルスラボ主席研究員・21世紀医療フォーラム事務局長である阪田英也氏です。(写真LM)

テーマ1:医療者にとって終末期医療とは
・大変重い響き。患者は死が近づき苦しみが出てきて、その後すっと覚悟を決める。魂が教えている気がする。どう支えて医療をするか。
・「この医者とは話が通じるな」という医者を求めている(谷川俊太郎)
・死は「気力」なのかも
・急性期病院と終末期施設との関係。濃厚治療でないかどうか。患者が気力を持っていれば治療の必要性を感じる。患者の死生観に添う。

テーマ2:多死時代を迎えて看取りの実際と心得は
・独居の方々が今後の課題
・死を特別視していない。死を恐れないで心を通わせること
・看取りすることは施設設立時のスローガン。「悔いはない、ありがとう」が理想。
・心の内を話してもらう。だまって聞く。
・主役は本人、家族なので素直に語ることができるかかわり方、環境を整える。
・心通う対話が大切。沈黙は患者が心の整理をしている。
・豊かな心を育むために元気なうちに努力してほしい。


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 今回のシンポジウムは「自分らしい最期を迎えるための生き方、過ごし方」といった大変重いテーマでした。私自身にとりましてもあまりにも漠然とした「死生観」という概念を改めて見つめ直すよい機会となりました。

取材:静岡地区担当 生きがい特派員  竹内 章


 


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